【ファストドクター医師監修】家族の急な体調不良 自宅で様子見OKの判断基準や注意点とは

夜間・休日の体調不良 受診の判断基準や家庭でできる備え、子どもによくある事例を確認

写真:アフロ

前回の記事では、救急外来・救急往診・オンライン診療のそれぞれの特徴や使い分けについて、実例を交えてご紹介しました。

本記事でも引き続き、小児科医の西田明弘(にしだ あきひろ)先生にお話をうかがいます。

急な体調不良になった家族を「自宅で様子を見る」と判断をしていいケースはどんなとき? 様子見の際に気をつけるべきポイントはどんなこと? 家族の健康を心配するママたちのお悩みに答えていただきました。

【前回記事】【ファストドクター現役小児科医が回答】家族が夜間・休日に急な体調不良 対応法を伝授
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受診? 自宅で様子見? 判断ポイントは呼吸・意識の状態と発熱の有無

――アンケートには、ママたちから「家族の急な体調不良時、受診させるか様子を見るかの判断がむずかしい」という声が多く寄せられました。どんな症状が出ていたら受診をするべきなのか、判断ポイントを教えてください。

いくつか具体例を挙げますと、意識混濁(ぼんやりしていて呼びかけても反応が薄い)、倒れて意識を失った、めまいが続く、などの異常があるときは、迅速に受診したほうがいいでしょう。

息苦しさがある、咳がとまらない、といった症状があるときも、受診することが望ましいです。しかし、そこまでつらそうでなければ、翌日まで様子を見てもかまわないと思います。

生き物に嚙まれたときも、必ず受診しましょう。生き物の口内は非常に菌が多いので、傷口から入ったばい菌によって感染症を起こすことがあります。応急処置として、傷口を水道水でしっかりと洗い流しましょう。それだけでもばい菌がかなり排除できます。

ご家庭でよく起こるケガのひとつである切り傷には、応急処置として圧迫止血が有効です。傷口を清潔なガーゼやハンカチなどで強くおさえて止血する方法です。圧迫止血をしても出血がとまらなかったときは、早めに受診しましょう。

――子どもの場合に、とくに気をつけたほうがいい症状はありますか?

小さいお子さん、とくに3ヵ月未満の低月齢期のお子さんの発熱は、重い感染症の疑いが強いので要注意です。38度以上の発熱が続くときは、すみやかに受診しましょう。

また、最初に受診したあとに4〜5日ほど発熱が続くようなら、元気に見えても、再診にいってください。追加の検査や薬の変更が必要な場合があります。

年齢にもよりますが基本的には患者さんが子どもの場合でも、呼吸や意識状態といった判断基準は成人と同じです。ただし、小さいお子さんは自分の症状をうまく訴えられない場合も多いと思います。

そんなとき私がよく説明するのは、「食べる・飲む・寝る」ができていたら慌てなくても大丈夫、ということです。反対に、これらができていないときや対処に迷ったときは、医療機関を受診し、自宅での対応や治療法についての説明を受けてください。

――受診の際に病院側に知らせておくべき情報は、どんなことでしょう?
 
熱や症状の経過、周囲の流行状況、水分摂取が可能か、持病や内服の有無などです。

いつから、どんな症状があるのか、「よくなってきている」「わるくなってきている」「あまり変化がない」という方向性などを教えていただきたいです。

患者さんによっては、体温をメモするだけでなくグラフにしてきてくださることもあります。メモでも十分ですが、グラフ化することによって、より変化がわかりやすくなります。

また、周囲の感染流行状況がわかると、診断をつけやすくする大きな要素になります。

それから、持病の有無と、普段飲んでいる薬の名前や量は必ず確認します。もしお持ちならお薬手帳を準備していただけると診察がスムーズです。

脱水状態になってくると緊急性が高まる場合があるため、水を飲めているか、トイレに行けているかなどをうかがうことで脱水状態が起きているかも確認します。

これらの総合的な情報をもとに、診断や緊急性を判断する材料としています。

小児科医が勧める「急な体調不良への備え」とは

――急な体調不良になる前に準備しておいたほうがいいことは、なにかありますか?

患者さんがもっとも困るのは、「夜間・休日の受診先がわからない」ということです。救急往診にいった際に、「どこを受診したらいいか分からず困った」と話す方が多く、普段から近くの夜間対応をしている医療機関をチェックしておくことが大切だと感じました。

かかりつけの先生はもちろん、救急外来、救急往診、オンライン診療など、複数の連絡先を確認しておきましょう。具合がわるくなってから探すと、身体に負担がかかったり、見つかっても診察時間を過ぎていたり、いろいろと大変だと思います。あらかじめ、近隣の受診可能な病院の連絡先と診療時間をメモして備えておくことは非常に大切です。

また、持病がある方は、「こんな症状のときは、このような対応をしてください」と、かかりつけの先生から指示を受けていることでしょう。それをご自身で覚えておくことや家族に共有しておくことも、必要な備えのひとつだと思います。

子どもに多い誤飲事故 様子を見る際の注意点は?

――幼い子どもがおもちゃやタバコを誤飲したというニュースをよく耳にします。もし誤飲に気づいたら、すぐに受診するべきですか?

誤飲の際は、基本的には受診したほうがいいと思います。とくに鋭利な刃物などは胃腸に刺さる可能性があるため、ぜったいに放置してはいけません。

タバコの誤飲も当然危険なのですが、より深く注意していただきたいのは、タバコを浸した水です。もし飲んでしまうと、大量のニコチンが吸収されて重い中毒症状が起きてしまいます。タバコそのものを誤飲するよりも危険なので、すぐに救急外来を受診してください。

それから、近年相次いで起こっているのがジェルボール(特殊な膜で包んだボール状の洗剤)の誤飲です。1個の中に濃縮された洗剤が入っていて、通常の洗剤よりも危険なのですが、見た目がきれいなので子どもにはおいしそうに見えてしまうようですね。

ボタン電池の誤飲も非常に危険です。食道で引っかかった場合には、粘膜が傷つき短時間で食道に穴が空くことがあります。磁力が強いマグネットを2個以上飲んだ場合、マグネット同士で胃や腸を挟みこんで動かなくなってしまうことがあります。

吸水性合成樹脂製玩具(水で膨らむボール)は腸の中で大きく膨らんで腸閉塞を起こします。いずれも緊急での処置や手術が必要になることがあります。

このように、身近にあるさまざまなものが危険な誤飲事故の原因になりうるため、子どもの手の届かないところに置くなど保管方法に注意していただきたいです。

一方で、小さなプラスチックのおもちゃなどは、たいがいうんちと一緒に排泄されます。コイン・小銭の誤飲もよくありますが、食道を通過して胃まで入っていたら、身体への害は少ないと考えてよいでしょう。しかし、食道でひっかかってしまったときは食道内に傷をつける可能性があります。

誤飲事故では、異物が胃に入ったのか、肺・気管に入ったのかが大事なポイントになってきます。気管に入った場合は、かなりむせるのでわかる場合が多いのですが、もし気づかなかった場合、1週間後くらいに誤嚥性肺炎になり、そこで気づくこともあります。

胃に入ったかどうかの判断は救急往診ではむずかしいため、基本的には受診をおすすめします。もし受診先が見つからない場合、こども医療でんわ相談窓口である#8000に相談するか、症状によっては救急車を呼んでもいいと思います。

――誤飲から窒息につながってしまうケースもあるようですが、口に入れた直後に喉に詰まっていないようなら、様子見でも大丈夫なのでしょうか?

窒息が起きるタイミングは2度あります。1度目は、飲んだときにそのまま気管をふさいでしまうとき。そして2度目は、飲んだものを吐いたときに、口から出てこないで気管にひっかかってしまうときです。

誤飲した際にやってしまいがちですが、指を突っ込んで無理やり吐かせようとするのは、かえって危険な場合があるんです。なかにはすぐに吐かせたほうがいい異物もありますので、迷ったら#8000もしくは近隣の小児科に連絡するのがよいかもしれません。

窒息しているサインは、「咳をする」「首を苦しそうにおさえるしぐさ」などです。また、「顔色」も大事なチェックポイントです。しばらく時間がたってから窒息が起こることはほとんどありませんが、誤飲後は慎重に様子を見るようにしています。

誤飲時のガイドラインとしてというウェブサイトがおすすめです。飲んだものによって異なるそれぞれの対処法が載っています。

まずは冷静に できることからやっていけば大丈夫

――それでは最後に、「家族の急病のとき、正しい対応ができるか心配」と思っているママたちへメッセージをお願いいたします。

「こんなに軽症で受診していいのかな?」といわれる方もいますが、迷ったら#8000やファストドクターへ相談するのがよいと思います。軽症に見えても重篤な病気が隠れている場合もありますし、たとえ軽症だったとしても「大きな病気じゃなくてよかったね」となりますから。

それでも、夜間に救急外来まで行くのはおおげさかなと躊躇されることもあるかもしれません。そのときは、救急往診やオンライン診療も検討してみてください。

大切なお子様が体調不良のとき、親は誰よりも心配になるものです。でも大丈夫、親はお子さんの一番の理解者ですから。まずは冷静にお子様の症状や状態を観察し、対応を考え、できることから順番におこなっていきましょう。

西田明弘(にしだ あきひろ)先生
片村クリニック勤務。
日本小児科学会小児科専門医。
専門領域はアレルギー、小児腎臓病。
2010年に京都府立医科大学を卒業後、これまで京都、大阪、兵庫を中心に小児科医として勤務し、夜間・休日はファストドクターの提携医療機関の非常勤医として勤務。

取材・文/大沢佑衣・笹川かおり (AnyMaMaエニママ)

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